妹の恋人[完]
合格発表から入学式まで、準備などでそれなりに忙しい時間を過ごしていて。

合間に家でカナコと一緒に過ごしたり、買い物へ行ったり。

3年生になるカナコ。

自転車で通学する俺に、合格祝いとして遠くに住む祖父母が自転車を買ってくれた。

ついでになぜだか3年生になるカナコにも。

シルバーのシンプルな俺の自転車に対して、水色でかわいらしいカナコの自転車。

小さなカナコにぴったりサイズの自転車は、俺の自転車よりもはるかに小さくて。

自転車とおそろいのヘルメットをかぶって、自慢げなカナコ。かわいいカナコ。

新しい自転車に乗りたくて仕方のないカナコは、春休み中母さんに無理やり用事を作らせては俺と一緒にスーパーやコンビニへ買い物に行く毎日。

単身赴任していた父さんも、4月から家へもどってくることになって、すごくうれしいんだ。

しばらくは転勤はなさそう、という父さん。

俺もうれしいけど、何よりもカナコと母さんは父さんにべったりで、引っ越しが終わって荷物を片付けている父さんの邪魔ばかりして父さんを困らせていた。

「カナコ、父さんの邪魔しちゃだめだよ」

あまりにもべたべた父さんにくっついているカナコになんだかいらいらして、無理やりリビングへ連れてきてしまった。
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