妹の恋人[完]
パタン、と携帯電話を閉じて、俺の入れたコーヒーを受け取りにきた河合は一口飲んでうまいね、とつぶやいた。

その様子がなんだかおかしくて。

「お前、面白いのな」

思わず口から出てしまった。

「あー、よく言われるよ」

そんな俺の言葉を気にするでもなく、マグカップを持ったまま窓際へと歩いて行った。

なんとも自由な性格のようで。

お昼近くになり、食事の時間だと隣の部屋の人が呼びに来てくれて。

一緒に食堂へ他愛もない話をしながら向って、皆でそろって食事を食べた。

できたての温かいお弁当で。

これからしばらくお世話になるのかと思うと、どんな味かと不安だったけど、それなりに美味しくて安心した。

午後からは早速研修の開始で、マナーなどを中心にみっちりしごかれて。

今までなんとなくやっていたことも、きちんと正しい方法を教えてもらったりして、ためにはなるんだけどとにかく厳しい!

講師の女性がとにかく怖くて、休憩時間に皆がどっと肩を落として疲れきっていた。

もちろん、俺もそんな一人で。

こんな時間があと何日も続くのかと思うと、うんざりしてしまう。
< 572 / 587 >

この作品をシェア

pagetop