妹の恋人[完]
お互いの実家でのことを話したりしながら、ゆっくりと飲んで。

学生時代を思い出しても、こんなに深く話しこんだ友人がいただろうか?

それくらいどんなことでも話を聞いて欲しいと思う相手ができたことが、なんだか嬉しくて。

どんな話でも、きちんと聞いてくれて、自分の意見を話してくれる河合。

今まで隠しがちだったカナコのことも、河合には素直に話をすることができた。

「お前さー。本当に妹のこと好きなのなー」

一通り俺の話を聞いたあと、ぽつりとつぶやかれたその言葉に、どきっとしてしまった。

そんなにカナコのことばかりを話したつもりもなかったけど。

聞いていた河合には、そう聞こえていたのだろうか。

「妹の話をするとき、すっげー幸せそうな顔してるよ」

そんな風に言われたのは初めてで。

俺も妹欲しいーなんて叫んでいる河合を、こいつなら信じていいのかもしれないなんて。

翌日からまた始まった研修も、毎日真剣に取り組んで。

勉強といっても学生とは違って、とにかく必死にがんばって。

すべての研修が終わるころには、高評価を取ることができていた。

「はー。やっぱお前すごいなー」

最終日の夜は打ち上げも兼ねたパーティーで。

場所は施設の食堂だったけど、飲み会というよりは立食パーティーで今まで一緒に頑張った仲間と楽しい時間を過ごすことができた。
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