妹の恋人[完]
「もー!お兄ちゃん!」

せっかく一緒にいられるのにー!とすねるカナコがかわいくて、頭をなでてあげる。

とたんに機嫌も良くなって、一緒にゲームをやろう!とテレビの前に陣取っていた。

「お父さん帰ってきてよかったね、おにいちゃん」

ゲームをする手を止めることなく、テレビ画面を見たままつぶやいたカナコ。

3年間単身赴任していた父さんが戻ってきたことは、とても大きなことで。

頑張っていた母さんもすごくほっとしているに違いない。

しばらくは学校も早く帰ってきて出来るだけ夕飯を家族そろって食べたいな。

4月になり、入学式がやってきた。

新しい制服を着て、新しい自転車で学校へ向かう。

休みを取ってくれた父さんと母さんは車で入学式へ来てくれるらしい。

カナコはまだ新学期が始まっていないので、お隣のハナちゃんの家でお留守番だ。

学校について、クラス発表を確認する。

同じ中学からは高橋さん以外にも数人この高校へ入学しているけど、同じクラスになったことのない人たちで名前も知らない。

「浅野君!おはよう!」

自分の名前をなかなか見つけられずにいたら、後ろから高橋さんに声をかけられた。

「おはよう。何組だった?」
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