妹の恋人[完]
『それじゃ、そろそろ。体に気を付けてね』

「うん、またね!メールする!」

母さんとカナコが電話を切り、とたんにさみしさがこみあげてくる。

毎回のことだけど、こればかりはどうにもならなくて。

温かい飲み物を用意し、二人でソファに座りながらテレビを見ていた。

「ねえ、おにいちゃん」

「ん?」

空っぽになったマグカップを握りしめ、カナコが俺を見上げてきて。

「あのね、ちょっとさみしいけど、私日本に残ってよかったかも」

突然のことで、何を言い出すのかと思ったけど、カナコの頭を撫でながら続きを待つ。

ふぅ、とため息をついたあと、再び前をむき直して、テレビを目で追っていて。

きっと、内容は頭に入っていないんじゃないだろうか。

俺自身、BGMくらいにはなっているかな?といった感じで、内容は頭に入っていなくて。

「新しい友達も楽しいし、学校もすごく楽しいの。お掃除もお料理も、どんどん上手になっていくのが面白いし」

「それはよかったな。まあ、料理は俺の方が上手だけどな」

「もう!そのうち抜きますからね!」

まだ始まったばかりの二人の生活だけど。

お隣の竹内さんたちにも助けられて、何とかなっている。
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