妹の恋人[完]
すっかり元気になり、また今日から学校へ行くという朝。

家を出る前にカナコに「行ってきます!」というと「おにいたん、いってらっちゃい!」と、今までにーにとしか言えなかったのに、しっかり挨拶ができていて、とにかくびっくりした。

俺が寝込んでいた間に、成長していたカナコ。

うれしいけど、なんだか複雑。

俺の知らないところで成長しないで。いつまでもおれだけのカナコでいて。

泣きそうになりながら、あわてて家を飛び出した。

それからというものの、おれの見ていないところでどんどん成長するカナコ。

俺も4年生になり、部活でバスケットを始めた。

背の低かった俺だけど、いつか必ず大きくなってやるんだ!バスケットだってぜったいうまくなってみせる!

勉強も部活もがんばって、カナコにおにいちゃんかっこいい!と言わせるんだ。

3歳になったカナコは、近所の同じくらいの子供たちと遊ぶことが増えてきた。

俺も部活や勉強が忙しくて、カナコをずっと見ていられなくなってしまった。

それでも、早く帰宅した日は外で遊びたがるカナコと一緒に、母さんが呼びに来るまで近くの公園で泥だらけになって遊んでいた。
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