妹の恋人[完]
ぼそり、と俺の名前をつぶやいたそいつは、ちっと舌打ちをすると俺から視線をそらせて手続きをしてくれる先輩の方へ行ってしまった。

なんで?俺なにかした?っていうか、誰?知らないし・・・。

「有名人も大変ねぇ」

ぎゃはは、とおネエ言葉で笑う松本先輩。

「今の誰ですか?」

「俺に聞くなよ、同じ1年だろ、俺はしらない」

確かに。でも、同じクラスではないはず。見たことないし。

なんだか楽しいだけじゃ済まない感じだなー。

手続きが済み、全員にこれからの部活日程表を配る松本先輩。

ムードメーカーだけではないようで、先輩達からも信頼を得ているようだ。

日程表を見ると、月曜日から土曜日までみっちり入った練習。

これは・・・アルバイトなんてやっている暇はなさそうだなぁ。

「じゃあ、明日は朝7時半集合だから、遅刻しないでね!」

今日は入学式だけだと思っていた俺は、思いのほか帰りが遅くなってしまったので学校から家へ電話を入れた。

入学祝に父さんからもらった携帯電話。

新しくて、また使いこなせていないのと、メモリにも家族以外登録していない。

俺の携帯電話をみて、カナコもかなり欲しがって父さんに泣いてお願いしていたけど、小学生にはまだ早い!と却下されていたっけ。
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