妹の恋人[完]
今年9歳になるカナコ。

「えー、男の人って、おにいちゃんでしょー」

あはは、おかしい~と涙目になりながら笑うカナコ。

まだ3年生になるカナコにはわからないのかな。

それとも、俺じゃないクラスの男の子の前では違うんだろうか。

嫉妬に似たよくわからない感情を押し殺しながら、部屋からカナコを追い出しつつ自分も階段を下りてリビングへと向かった。

「高橋さんとは同じクラスになれたの?」

塾でずっと一緒だった高橋さん。

何度か迎えに来てくれた母さんが、一緒に家まで送ってくれたりしたから、高橋さんのことは知っていた。

「違うクラスだったんだ。彼女はA組」

「お兄ちゃんの彼女でしょ!きれいなお姉さんだよね!」

オレンジジュースを飲みながら、楽しそうなカナコ。

彼女、か。

高橋さんと俺の関係は、なんていうんだろうか?

つきあうとかそんな話はしたことないけど、きっと高橋さんは俺に好意を持ってくれている。

うぬぼれかもしれないけど。
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