妹の恋人[完]
お姉さん美人なんだから!というカナコの言葉に、ちょっとどきっとした。

確かに、彼女は美人だし、勉強もできる。

性格だって、俺と一緒にいる姿しか知らないけど、よくしゃべるし楽しいと思う。

今日だって、もうほかの女の子と話をしていたくらいだから、人見知りもそれほどないんだろう。

なんだか落ち着かなくて、気分転換に走りに行こうかと時計を確認するとまだ夕方4時すぎ。

「母さん、ちょっと走ってくるよ」

「夕飯までには帰ってきてね」

ジャージに着替え、軽くストレッチしてから家を出ると、あわててカナコが飛び出してきた。

「おにいちゃん、カナコも行く!」

ヘルメットと自転車の鍵を持ってガッツポーズをしてみせるカナコ。

本当は一人で何も考えずに走りたかったんだけど、どうしてもいっしょに行くというカナコに折れて、自転車で付いてくることを許してしまった。

ああ、とことんカナコに甘いんだ。最近それをはっきり自覚し始めた俺。

ちょっと考えないとだめなのかも。

中学の3年間走りこんできた駅までの道のりを、自転車のカナコが追いかけやすいスピードで走っていく。

時々後ろからカナコに話しかけられながら、基本はもくもくと走る。

「おにいちゃーん、休憩!こうえーん!」
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