妹の恋人[完]
「私、浅野君のことが好きなの。付き合って」

「付き合うってどこに行くの?」

山下さんの言うことがよくわからない。

話を聞いていた、俺の横の席の大野君が、助け船を出してくれた。

「コウヘイ、付き合うって彼氏彼女になるってことだろ」

彼氏彼女?

恋愛に疎い俺。そういえば、大野君も彼女ができたとか言っていた。

俺の彼女?俺はカナコだけでいいのに。他には何もいらない。

「浅野君?」

何も言わない俺に、しびれを切らしたのか、山下さんが俺の顔を覗き込んできた。

「あ、あの山下さん」

顔が近い!思わず立ち上がり、座っていた椅子が大きな音をたてて倒れてしまった。

「俺、彼氏とか彼女とかよくわかんないし、山下さんのことも友達だとしか思ってないから」

俺にはカナコだけだから、だから彼氏にはなれそうにもないよ。
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