妹の恋人[完]
小さいころから一緒にいたんだから、ましてや従姉弟なんだから、連絡を取り合っていても不思議ではないんだからと自分に言い聞かせ、昼間のようなおかしな態度にはならないようにと必死で自分を落ち着かせる。

「そう、実は今まで話をしたことがなくてね」

嫌いと言われたことまで話す必要はないし、もし話してしまったら理由を問いただされそうだったのであえて言わなかった。

『そうなんですってね?同じ部活なのい、そんなもんなの?』

「どうかな?練習に集中していたから、話をする機会がなかっただけかも」

ちょっと無理があるかな?と思いつつ、実際話をしなかったわけで。

まあ、避けられていたから話す機会がなかったのもあるけど。

「そういえば、高橋さんは塾は順調?」

『ええ、火曜日と木曜日に通っているわ。2年生になったら増やすと思う』

ちゃんと自分なりの計画があってなんだろう。将来の夢があるっていいなと思う。

「そっか。がんばってるね」

『浅野君のバスケ程じゃないわよ。毎日練習大変そうね』

好きでやっていることだから、そこまで大変ではないけど、確かに自由になる時間は少ないかも。

それでも、体を動かすのは好きだし、朝早いのも苦じゃない。

『もうすぐテストだけど、もしよかったら一緒に勉強しない?』

忙しくて時間が取れないかしら?と遠慮がちに言われたけど、テストが近くなると部活も自由参加になるので、夕方の練習は少し控えようと思っていたところだった。

「来週からなら大丈夫だよ。高橋さんの塾のない日に図書館へ行こうか」
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