妹の恋人[完]
カナコのことを言うと、また何か言われるかも、と口には出せなかったけど。

でも、カナコだけだから。人には言っちゃダメだとしても、気持は変わらない。

「じゃあ、私のこと好きになってよ」

それでもしつこく俺に寄ってくる山下さん。

どうしたらいい?

「ほかに好きな人いないんでしょう?私を好きになって」

じりじりと俺に寄ってくる山下さん。

ゆっくり俺も後ずさりしながら教室の後ろまで追い詰められてしまった。

部屋にいるクラスメイトが何事か、と注目している。

「山下!もうやめろよ!」

ずっと見ていた大野君が助けてくれる。

「しつこい女は嫌われるんだって!」

俺が嫌がっていたのに気づいてくれていた大野君。

このときから、隣の席の友達から何でも話せる親友に変わったんだ。
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