妹の恋人[完]
俺に握られた手を見て、顔を真っ赤にする高橋さん。かわいい。

でも、これは俺のやきもち。

従姉弟で、俺の知らない高橋さんをよく知っている、ワタルへのやきもち。

「高橋さん、俺のこともコウヘイって呼んでほしいんだけど」

「えっ!」

びっくりしたのか、真っ赤な顔のまま俺の顔を見つめる高橋さん。

くりくりした目が、たまらなくかわいい。

「・・・だめ?」

きっと彼女は今、パニックで頭が真っ白になっているに違いない。

でも、俺だって心臓が爆発しそうなんだ。

女の子の手をにぎって、こんな子供みたいなわがままを押し付けているんだから。

「だ、だめ、じゃないけど・・・」

私のこともサトミって呼んでほしい、です、なんて俯いたまま可愛いことを言うから。

「サトミ、好きなんだ」

握っていた手に力が入る。

「付き合ってほしい」

俺の発した言葉に、さらに赤くなった高橋さん。

どうしよう、抱きしめたいけど、ここはファーストフードの店内。

ああ、こんなところで告白しちゃったよ。

一瞬で冷静になってしまった俺は、ちらっと周りの客を見てみるけど俺たちを気にしている客はいなくてちょっとほっとする。

「あ、あのね、浅野君」

「コウヘイ」

「こ、コウヘイ・・・クン。私もずっと好きでした」

顔をあげた高橋さんは、涙目になっていてでもとてもうれしそうな顔をしていて。

「ありがとう」

言葉に出して相手に気持ちを伝えることって素晴らしいんだと実感できた。

この日、俺は初めて彼女ができたんだ。

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