アレキサンドライトの姫君
第一章 アレキサンドライトの姫君
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「エーデルシュタイン・フォン・クラウゼヴェルク。…アレキサンドライトの姫よ」
大広間によく響く低い威厳のある声音で名を呼ばれ、恐る恐る顔を上げた先には、玉座に腰掛けた国王とその両側には王子らしき正装を身に纏った青年たちの姿がある。
ただその光景はぼんやりと朧げで、王族の尊顔を拝することは出来ない。
「ほう…。これは噂に違わずなんと美しい…誠に見事なアレキサンドライトだ」
王の口から思わず溢れた感嘆のため息もその称賛の言葉も、ただ聴覚を素通りするだけで何一つ頭には入ってこなかった。
疲労と緊張と恐怖と混乱と。
この身に降りかかった突然の出来事を未だ理解することもできないままここに居るのだ。
いったい何がどうなってこんなことになったのか…。
アレキサンドライトの姫君と呼ばれる絶世の美女エーデルシュタインは、その美貌を蒼白させて立ち尽くしていた。
大広間によく響く低い威厳のある声音で名を呼ばれ、恐る恐る顔を上げた先には、玉座に腰掛けた国王とその両側には王子らしき正装を身に纏った青年たちの姿がある。
ただその光景はぼんやりと朧げで、王族の尊顔を拝することは出来ない。
「ほう…。これは噂に違わずなんと美しい…誠に見事なアレキサンドライトだ」
王の口から思わず溢れた感嘆のため息もその称賛の言葉も、ただ聴覚を素通りするだけで何一つ頭には入ってこなかった。
疲労と緊張と恐怖と混乱と。
この身に降りかかった突然の出来事を未だ理解することもできないままここに居るのだ。
いったい何がどうなってこんなことになったのか…。
アレキサンドライトの姫君と呼ばれる絶世の美女エーデルシュタインは、その美貌を蒼白させて立ち尽くしていた。