アレキサンドライトの姫君
第三章 神秘の瞳を持つ者同士
-1-
「お出かけになられますか?」
ディルクの私室を出たところで一人の男性がディルクにそう声をかけた。
「ラオム」
「お供致します」
「いや、必要ない。聖堂に行くだけだ」
「左様ですか」
一言で表すなら無愛想な大男という印象。それでも、顔立ちは鋭利に整っている。整っているからこそ、冷徹そうな表情に背筋が凍りつきそうな雰囲気が否めない。
「…エーデル。私の側近であり護衛も務める書記官長のラオムだ」
怪訝そうにしていたエーデルに気付いたディルクが彼を紹介する。
「エーデルシュタイン様、以後お見知りおきを」
言葉も出せないほどの威圧感を漂わせたいかにも寡黙そうな面差しは笑み一つ見せず冷淡な口調でそう言って頭を垂れた。
猛禽類のような鋭い眼光、強靭な肉体の持ち主であることが一目で分かる筋肉質で大柄な体躯。
声をかけるのさえ躊躇われるような峻厳な雰囲気にエーデルは会釈のみで応対すると、傍からディルクが腰に手を回して歩き出しエーデルも足を踏み出した。
「お気をつけて」
二人の背中に声をかけたその男がエーデルに熱い視線を送っていたことに気づいたか否か…。
ディルクの私室を出たところで一人の男性がディルクにそう声をかけた。
「ラオム」
「お供致します」
「いや、必要ない。聖堂に行くだけだ」
「左様ですか」
一言で表すなら無愛想な大男という印象。それでも、顔立ちは鋭利に整っている。整っているからこそ、冷徹そうな表情に背筋が凍りつきそうな雰囲気が否めない。
「…エーデル。私の側近であり護衛も務める書記官長のラオムだ」
怪訝そうにしていたエーデルに気付いたディルクが彼を紹介する。
「エーデルシュタイン様、以後お見知りおきを」
言葉も出せないほどの威圧感を漂わせたいかにも寡黙そうな面差しは笑み一つ見せず冷淡な口調でそう言って頭を垂れた。
猛禽類のような鋭い眼光、強靭な肉体の持ち主であることが一目で分かる筋肉質で大柄な体躯。
声をかけるのさえ躊躇われるような峻厳な雰囲気にエーデルは会釈のみで応対すると、傍からディルクが腰に手を回して歩き出しエーデルも足を踏み出した。
「お気をつけて」
二人の背中に声をかけたその男がエーデルに熱い視線を送っていたことに気づいたか否か…。