アレキサンドライトの姫君
「エーデル様、少しお寝みください。今日はイルザ女官長の講義もお休みされましょうね?」

入浴も、その後の着替えも、ミーナは手際よくエーデルの身支度を整えて夜着へ着替えさせると、全てが新しく整えられた寝台へと促した。
先程の惨状の欠片も窺えないほど完璧に整えられた寝台に横臥してエーデルは傍に佇むミーナに礼を言う。

「ミーナ、ありがとう…」
「いいえ。どうかお気になさらないでください。それより、ディルク殿下は一体何をお考えになっておられるのでしょう! エーデル様になんて無体なことを」

怒りを露わにするミーナを眺めていると、不意に瞼が重くなる。

「ミーナ、私、少し眠るわ…ね…」
「はい。おやすみなさいませ、エーデル様」

ミーナの声を最後まで聞くことすら出来ないほどの眠気に襲われ、そのまま引き摺り込まれるように眠りの底へ落ちていった。
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