誘惑。
初めて間近で拝見した課長の顔は、彫刻のように綺麗で。

私のキスにも驚きもせず、淡々と私と目線を合わしている。

「パソコンじゃなくて、私を、見てくださいっ…… 」

おどおどしながらも、そう発すると、

「……下手くそ。」

そう言って、私の唇に温かい感触をもたらした。

先程の私からのキスとは打って変わり、侵食されるように私の唇を翻弄する。

甘く、だけど優しいキスに、初めてながらも大人なキスなんだと察した。

「……っぁ、ん… んんっ」

自分がこんなにも甘ったるい声を出しているのでさえ新鮮且つ、恥ずかしい。
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