【完】『そろばん隊士』明治編
◇6◇
洋学所で山本は新島に対面した。
「なるほど、木戸さんもなかなか面白いことを思い付いたものだ」
山本は八重に読み上げられた木戸の手紙を聞くと、
「まぁ心当たりはないでもない」
山本は言った。
「それではこれにて」
岸島は座を外そうとした。
「岸島くん、そこにいなさい。君はこの話の証人だ」
どうも岸島は証人にさせられることが多いらしい。