【完】『そろばん隊士』明治編
「なるほど、それで岸島さんはそろばんが出来たのか」
新島はそこでようやく納得したようで、
「でもまたなぜ、新撰組に?」
新島は訊いた。
「私は、国禁を犯しアメリカに渡って、本来なら腹を切らされるであろうところを、使節としてアメリカへ渡ってきた木戸さんに助けられた」
いわば恩がある、という。
「しかし木戸さんが桂小五郎であった頃、なぜ新撰組に狙われていたのかは知らないのです」
その時の新島はアメリカにいたのだから、知らないのも宜なるかなであろう。