【完】『そろばん隊士』明治編
◇12◇
数日、過ぎた。
大垣屋は岸島を連れ、梅野屋を訪れた。
「これはこれは大垣屋の旦那はん、ようお越しやす」
梅野屋の女将には話をつけてあったらしく、
「まずは離れへ」
と離れ座敷へ通された。
ほどなく。
「失礼いたします」
おまさが酒を運んできた。
「…岸島さま」
「おまさどの、ご無沙汰をいたしておるが、おしげどのは息災か?」
「おかげさまで」
おまさは膳を並べた。