Melty Smile~あなたなんか好きにならない~
「大丈夫?」

「……はい」

キスで呼吸を忘れて酸欠だなんて、みっともない……情熱的すぎる彼がいけないんだ。
見上げてみると、彼の方も頬を赤く染めていて、眩しいものでも見るかのようにとろけた瞳をしていた。

「御堂さん……さっき、一秒フライングしましたね?」

「うん。もう待つことなんてできなかったから」

「ずるい、逃げる暇、なかった……」

「本当は逃がすつもりなんてなかったんだ」

そう言って、私の額にかかる前髪をかきわける。

「右手が治ったら、キスだけじゃ済まさない」

「次はちゃんと、五秒ください……私、今度こそ逃げますから……」

「それなら、六秒フライングする」

「そんな――」

言いかけたところで再び唇を塞がれ、冷静な思考が奪われた。
呼吸を忘れる手前で彼の腕の中に崩れ落ち、筋肉質で少し硬い胸に包まれ瞳を閉じる。

彼は私を癒すようにそっと抱きしめてくれたけど、高揚する感情はなかなか収まりがつかなくて、彼の服を握りしめながら胸の疼きに耐えていた。
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