Melty Smile~あなたなんか好きにならない~
「丸く収まる方法がひとつあるぞ」
口を開いたのは陣さんだった。今は空席となっている黒木さんのデスクの上にドカッと腰を乗せながら腕を組む。
「あくまで狙われてんのは夕緋で、華穂は巻き込まれただけなんだよな? だったら、お前らが縁を切れば、犯人が華穂を襲う理由がなくなるわけだ」
シンプルな答え。確かに陣さんの言う通りだ。
でも、だからって御堂さんと縁を切るなんて――
祈るような気持ちで視線を向けると、彼は無表情のまま首を横に振った。
「それで彼女がすぐさま狙われなくなる保証にはならない」
ひとまず怖れていた返答は回避できて、ほっとした。
けれど事態はなにも解決していない。
「華穂ちゃん。すまないが、しばらくの間、俺と行動を共にしてくれ。今日はもう帰るんだ。家まで送っていく」
「……はい」
「待て、夕緋! お前だってどうすべきかわかってんだろ!? さっさと千里と婚約発表して、華穂のことは精算しろよ」
陣さんはせっかくの助言を無視されて、ムッと顔をしかめた。
しかし、御堂さんはそんな陣さんを一瞥すれど耳を貸さず、私の肩にそっと手を置く。
「支度をしてくる。少し待っていてくれ」
それだけ告げてオフィスを出ていってしまった御堂さんのうしろ姿に、陣さんはちっと舌打ちをした。
口を開いたのは陣さんだった。今は空席となっている黒木さんのデスクの上にドカッと腰を乗せながら腕を組む。
「あくまで狙われてんのは夕緋で、華穂は巻き込まれただけなんだよな? だったら、お前らが縁を切れば、犯人が華穂を襲う理由がなくなるわけだ」
シンプルな答え。確かに陣さんの言う通りだ。
でも、だからって御堂さんと縁を切るなんて――
祈るような気持ちで視線を向けると、彼は無表情のまま首を横に振った。
「それで彼女がすぐさま狙われなくなる保証にはならない」
ひとまず怖れていた返答は回避できて、ほっとした。
けれど事態はなにも解決していない。
「華穂ちゃん。すまないが、しばらくの間、俺と行動を共にしてくれ。今日はもう帰るんだ。家まで送っていく」
「……はい」
「待て、夕緋! お前だってどうすべきかわかってんだろ!? さっさと千里と婚約発表して、華穂のことは精算しろよ」
陣さんはせっかくの助言を無視されて、ムッと顔をしかめた。
しかし、御堂さんはそんな陣さんを一瞥すれど耳を貸さず、私の肩にそっと手を置く。
「支度をしてくる。少し待っていてくれ」
それだけ告げてオフィスを出ていってしまった御堂さんのうしろ姿に、陣さんはちっと舌打ちをした。