Melty Smile~あなたなんか好きにならない~
思わず彼を責めそうになってしまって、ぐっと言葉を呑み込んだ。
キスをしたくらいで彼女面をするなんて、厚かましいと思われるかもしれない。
いずれにせよ、御堂さんには婚約者がいるし、私との関係は望ましくない……
「本当に私のこと、好きにすればいいと思ってますか……?」
私の問いかけに、御堂さんは「もちろん」と目を伏せる。
「……もし、私が陣さんと付き合うと言ったら、御堂さんは喜んでくれますか?」
彼の唇がわずかに動いた。
嫌だと言ってほしくて、もう一度『華穂』と呼んでほしくて、祈るような気持ちで彼の表情の変化を見つめていた。
けれどその願いは叶うこともなくて、結局、いつも通りに彼は微笑んだ。
「……それが華穂ちゃんの選択なら」
――好きです――
……と素直に言えたなら、どんなに楽だろう。
けれど、その言葉は重すぎる。
千里さんに言われた通り、私は彼にふさわしくない。
なにより彼に『そんなつもりはない』と一蹴されたらと思うと、怖くてなにも言えなくなった。
私は頷き目を閉じて、こぼれそうになる涙を必死にこらえる。
いつの間に彼を自分のものにしたいだなんて、贅沢なことを考えるようになったのだろう。
二十七歳の誕生日を迎える前に戻りたい。
そうすれば、彼のことが愛しいだなんて苦しむこともなかったのに……。
キスをしたくらいで彼女面をするなんて、厚かましいと思われるかもしれない。
いずれにせよ、御堂さんには婚約者がいるし、私との関係は望ましくない……
「本当に私のこと、好きにすればいいと思ってますか……?」
私の問いかけに、御堂さんは「もちろん」と目を伏せる。
「……もし、私が陣さんと付き合うと言ったら、御堂さんは喜んでくれますか?」
彼の唇がわずかに動いた。
嫌だと言ってほしくて、もう一度『華穂』と呼んでほしくて、祈るような気持ちで彼の表情の変化を見つめていた。
けれどその願いは叶うこともなくて、結局、いつも通りに彼は微笑んだ。
「……それが華穂ちゃんの選択なら」
――好きです――
……と素直に言えたなら、どんなに楽だろう。
けれど、その言葉は重すぎる。
千里さんに言われた通り、私は彼にふさわしくない。
なにより彼に『そんなつもりはない』と一蹴されたらと思うと、怖くてなにも言えなくなった。
私は頷き目を閉じて、こぼれそうになる涙を必死にこらえる。
いつの間に彼を自分のものにしたいだなんて、贅沢なことを考えるようになったのだろう。
二十七歳の誕生日を迎える前に戻りたい。
そうすれば、彼のことが愛しいだなんて苦しむこともなかったのに……。