Melty Smile~あなたなんか好きにならない~
「ふたつめの問題は、犯人が俺ではなく、君をターゲットにしているということだ。わざわざ俺とふたりでいるところを写真に収めながら、君にだけ刃物を突き立てた。撮られた写真がここ数日であるところを見ても、昔からいたストーカーなんてものじゃない。契機は、君を恋人として周囲に紹介したあのパーティーの日。十中八九、原因は俺に起因するものだろう」

ずるり、と御堂さんは壁に背中をすって、床に腰を落とした。片足だけ膝を立て、その上に気だるく肘を乗せる。

「俺への間接的な嫌がらせか、あるいは俺と君の関係自体を疎ましく思っているのか。――おそらく後者だろうね。犯人のやり方が回りくどくなってきているところを見ると、純粋な嫌がらせというよりもなにか目的があると考えた方が妥当だろう」

眉をしかめ、自嘲の笑みを浮かべながら言う。

「いずれにせよ、これは警告だよ。これ以上俺に近づけば身の安全を保障しないという……」

「そんな……」

そこまでして私と御堂さんの仲を切り裂きたいのは誰なのか。そして、これから先どうすればいいのか。
毎日、犯人の行動に怯えながら過ごすなんて、気がおかしくなってしまいそうだ。

「すまない。俺のせいだ……」

力ない呟きに視線を跳ね上げると、御堂さんががっくりと頭をうなだれているところだった。
弱々しい姿、まるで精気を抜かれてしまったかのようにしゅんと小さくなっている。
< 139 / 249 >

この作品をシェア

pagetop