Melty Smile~あなたなんか好きにならない~
「そんなこと、どうやって……」
そうぽつりと溢すと、御堂さんは私の手を引きソファに座らせ、自らも隣に腰を降ろした。
大切な話をするときみたいに姿勢を正し、真正面から向き直る。
なんだか妙に改まるものだから、よくないことを言うのだと直感して、胸にじわりと不安が広がった。
「……華穂ちゃん。ここにくるまでに、考えていたんだけれどね」
そう前置きして、御堂さんはすべてを割り切ったような清々しい表情で笑った。
「婚約、受けようと思うんだ」
「え……?」
「千里と結婚しようと思う」
それは、いったい、どういう……?
突然の結婚宣言に、頭の中が真っ暗になる。
彼が手の届かないところへ行ってしまうんだという絶望的な感覚と、ああやっぱり千里さんのことが好きだったのかというあきらめのような気持ちと。
そして、どうしてこのタイミング? という疑念が頭の中を駆け巡る。
そんな私を見て御堂さんは、ひとつひとつゆっくりと、丁寧に説明を続ける。
「婚約さえ発表してしまえば、もう狙われることもなくなる」
「まさか、私のために婚約するなんて……?」
「もちろん華穂ちゃんのためだけじゃないよ。全員が幸せになるためにするんだ。これですべてが丸く収まる」
『全員が』って。『自分が』ではないの?
その回りくどい言い方はなに?
単純に『結婚したい』と言ってくれれば納得できるのに、わざわざ真相を避けるみたいな言い回しをするから余計に勘ぐってしまう。
そうぽつりと溢すと、御堂さんは私の手を引きソファに座らせ、自らも隣に腰を降ろした。
大切な話をするときみたいに姿勢を正し、真正面から向き直る。
なんだか妙に改まるものだから、よくないことを言うのだと直感して、胸にじわりと不安が広がった。
「……華穂ちゃん。ここにくるまでに、考えていたんだけれどね」
そう前置きして、御堂さんはすべてを割り切ったような清々しい表情で笑った。
「婚約、受けようと思うんだ」
「え……?」
「千里と結婚しようと思う」
それは、いったい、どういう……?
突然の結婚宣言に、頭の中が真っ暗になる。
彼が手の届かないところへ行ってしまうんだという絶望的な感覚と、ああやっぱり千里さんのことが好きだったのかというあきらめのような気持ちと。
そして、どうしてこのタイミング? という疑念が頭の中を駆け巡る。
そんな私を見て御堂さんは、ひとつひとつゆっくりと、丁寧に説明を続ける。
「婚約さえ発表してしまえば、もう狙われることもなくなる」
「まさか、私のために婚約するなんて……?」
「もちろん華穂ちゃんのためだけじゃないよ。全員が幸せになるためにするんだ。これですべてが丸く収まる」
『全員が』って。『自分が』ではないの?
その回りくどい言い方はなに?
単純に『結婚したい』と言ってくれれば納得できるのに、わざわざ真相を避けるみたいな言い回しをするから余計に勘ぐってしまう。