Melty Smile~あなたなんか好きにならない~
「……華穂ちゃん、相手は?」
「わかりません……非通知です」
「不用意に出ない方がいい」
「……そうですね」
普段であれば出るところだが、昨晩、犯人からの警告を受けたばかりのこのタイミングで軽はずみな行動はしたくない。
震える携帯電話を握りしめたままでいると、やがて留守電に変わり、静かになった。
「誰だったんでしょう……」
「もし本当に用事があるなら、留守電にメッセージを入れてくれるさ」
「……そうですね」
私たちは気を取り直しデスクに向かい、各々の仕事にとりかかった。
次に私の携帯電話が震えたのは、二時間後。昼過ぎのこと。
今度は非通知ではない。実家からだ。
「もしもし、お母さん?」
私は受話器を耳に当てながら席を立ち、オフィスを出た。
途中、御堂さんがこちらをちらりと見たが『お母さん』という単語に安心したのだろう、すぐに視線を仕事へと戻した。
『華穂? 元気にしてる?』
懐かしい母の声に気が緩み頬が綻ぶ。
「元気だよ。急にどうしたの?」
すると母は『どうってわけじゃないんだけどね……』躊躇うように口ごもった。
『お母さん宛に、差出人不明の封筒が届いてね。切手も貼ってなかったから、気になって中を開けてみたら、華穂の写真が出てきたんだよ。それが、普通の写真じゃなくて、半分が焼け焦げたみたいに黒くなってて。なんだか冗談にしても不気味でしょう?』
サッと血の気が引く。まさか、実家にまで……?
「わかりません……非通知です」
「不用意に出ない方がいい」
「……そうですね」
普段であれば出るところだが、昨晩、犯人からの警告を受けたばかりのこのタイミングで軽はずみな行動はしたくない。
震える携帯電話を握りしめたままでいると、やがて留守電に変わり、静かになった。
「誰だったんでしょう……」
「もし本当に用事があるなら、留守電にメッセージを入れてくれるさ」
「……そうですね」
私たちは気を取り直しデスクに向かい、各々の仕事にとりかかった。
次に私の携帯電話が震えたのは、二時間後。昼過ぎのこと。
今度は非通知ではない。実家からだ。
「もしもし、お母さん?」
私は受話器を耳に当てながら席を立ち、オフィスを出た。
途中、御堂さんがこちらをちらりと見たが『お母さん』という単語に安心したのだろう、すぐに視線を仕事へと戻した。
『華穂? 元気にしてる?』
懐かしい母の声に気が緩み頬が綻ぶ。
「元気だよ。急にどうしたの?」
すると母は『どうってわけじゃないんだけどね……』躊躇うように口ごもった。
『お母さん宛に、差出人不明の封筒が届いてね。切手も貼ってなかったから、気になって中を開けてみたら、華穂の写真が出てきたんだよ。それが、普通の写真じゃなくて、半分が焼け焦げたみたいに黒くなってて。なんだか冗談にしても不気味でしょう?』
サッと血の気が引く。まさか、実家にまで……?