Melty Smile～あなたなんか好きにならない～
携帯電話は続々とメッセージを受信し、短い振動音を放ちながらガタガタと床の上を暴れ回っている。
画面には新しいメッセージが次々と沸き上がり、チャットのように過去のメッセージを押し上げていった。

『お前の居場所は分かっている』

『今すぐその男から離れろ』

『その男と永遠に関わるな』

『従わなければ、お前とその家族に報復する』

報復！？

携帯を拾おうとしゃがみ込んだ瞬間、過激な単語が目に飛び込んできて、そのまま動けなくなってしまった。

夕べの私は、身の危険なんてどうでもいいと思っていた。
明日どうなってもかまわないから、今、彼のそばにいたいと。
けれど、家族にその危険が及んだ今、同じことを言えるだろうか。

ううん、私はそれほど向こう見ずな人間ではない。
父や母の命を天秤にかけてまで、わがままな恋愛感情を押し通すほど身勝手ではないし、そこまでの覚悟もない。

なにも出来ずにいると、ほどなくして脇のドアが開き、御堂さんがひょっこりと顔を覗かせた。

「華穂ちゃん、どうし――」

しゃがみ込む私の姿を見て、ぎょっと隣に膝を着く。
すぐに私の視線の先――落ちていた携帯電話に気がついて、そのメッセージを読み言葉を失った。
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