Melty Smile~あなたなんか好きにならない~
「それよりも、親父。今日は話があってきたんだ」
そう切り出すと、御堂さんは私の背中に手を添えて、軽く一歩押し出した。
「彼女が電話で話した華穂さんだ」
お父様の視線が私に向いて、息子そっくりの人をくった笑顔になる。
「これはこれは。千里ちゃんに負けず劣らずかわいらしいお嬢さんだ。パーティーにも来ていたそうだね。顔くらい見せてくれればよかったのに」
「ご挨拶できず申し訳ありませんでした。佐藤華穂と申します」
頭を下げた私の肩にお父様はそっと触れ、にっこりと微笑んでくれる。
「いいんだよ、堅苦しくならなくて。夕緋が連れてきた女性なら、どんな方でも歓迎だ」
そう言って私を温かな眼差しで見つめるお父様。とても懐が広く、理解のある人に見えるけれど――
「だったらどうして勝手に婚約の話なんて進めたんだ」
御堂さんが心底嫌そうな顔で吐き捨てた。
「心配だからに決まっているだろう。お前は一向に結婚する気配がないし、千里ちゃんのような素敵な女性は放っておいたらすぐに持っていかれてしまうぞ? 若くて、かわいらしくて、気立てがよくて、学もあって、母さんの若い頃を思い出すよ。おまけに巨乳で――」
「もういい、親父の好みなんて聞いていない」
「男の子のくせに胸に興味がないのか?」
「そういうことをいってるんじゃない! だいたい、あんたの目論見はそれだけじゃあないだろう」
御堂さんの視線と声が、厳しくなる。
「この結婚が決まれば俺を管理下に置ける、そう考えたんじゃないのか」
お父様が、ニッと口もとを引き上げた。なにか企んでいるときの顔も、本当に御堂さんそっくりだ。
そう切り出すと、御堂さんは私の背中に手を添えて、軽く一歩押し出した。
「彼女が電話で話した華穂さんだ」
お父様の視線が私に向いて、息子そっくりの人をくった笑顔になる。
「これはこれは。千里ちゃんに負けず劣らずかわいらしいお嬢さんだ。パーティーにも来ていたそうだね。顔くらい見せてくれればよかったのに」
「ご挨拶できず申し訳ありませんでした。佐藤華穂と申します」
頭を下げた私の肩にお父様はそっと触れ、にっこりと微笑んでくれる。
「いいんだよ、堅苦しくならなくて。夕緋が連れてきた女性なら、どんな方でも歓迎だ」
そう言って私を温かな眼差しで見つめるお父様。とても懐が広く、理解のある人に見えるけれど――
「だったらどうして勝手に婚約の話なんて進めたんだ」
御堂さんが心底嫌そうな顔で吐き捨てた。
「心配だからに決まっているだろう。お前は一向に結婚する気配がないし、千里ちゃんのような素敵な女性は放っておいたらすぐに持っていかれてしまうぞ? 若くて、かわいらしくて、気立てがよくて、学もあって、母さんの若い頃を思い出すよ。おまけに巨乳で――」
「もういい、親父の好みなんて聞いていない」
「男の子のくせに胸に興味がないのか?」
「そういうことをいってるんじゃない! だいたい、あんたの目論見はそれだけじゃあないだろう」
御堂さんの視線と声が、厳しくなる。
「この結婚が決まれば俺を管理下に置ける、そう考えたんじゃないのか」
お父様が、ニッと口もとを引き上げた。なにか企んでいるときの顔も、本当に御堂さんそっくりだ。