Melty Smile~あなたなんか好きにならない~
「夕緋殿。あなたは私を犯人だと思っておいでですが、この一件は本当に私のあずかり知らないところで起こっているのです。だからこそ恐ろしいのですよ、わかりますか? 犯人がなにをしでかすか、まったく予想がつかないのですから」
御堂さんの眉がぴくりと動いた。
かまわず、伯母さまは低いトーンで話を続ける。
「私であれば、彼女の命まで奪う様な真似はしません。刑事事件にでもなれば、こちらの首が締まりますから。けれど、この犯人は違う。あなたの手首の包帯が示すように、手加減など知りません。本気で彼女を殺しにかかる可能性もある」
御堂さんが自身の右手に視線を落とした。そこにはまだ痛々しく包帯が巻かれている。
確かに、あの時の犯人は容赦なんてしなかった。きっと私たちを殺すつもりだったのだろう。
「あなたが想像しているより、そこのお嬢さんはずっと危険な立場にあるのかもしれません」
伯母さまが扇子を勢いよく閉じて、その切っ先を御堂さんへと突きつけた。
「千里と結婚なさい。それですべて丸く収まります」
「……悪いけれど、伯母様。それはできない」
「千里が相手では不満ですか?」
「そういう問題じゃないんだ」
御堂さんの眉がぴくりと動いた。
かまわず、伯母さまは低いトーンで話を続ける。
「私であれば、彼女の命まで奪う様な真似はしません。刑事事件にでもなれば、こちらの首が締まりますから。けれど、この犯人は違う。あなたの手首の包帯が示すように、手加減など知りません。本気で彼女を殺しにかかる可能性もある」
御堂さんが自身の右手に視線を落とした。そこにはまだ痛々しく包帯が巻かれている。
確かに、あの時の犯人は容赦なんてしなかった。きっと私たちを殺すつもりだったのだろう。
「あなたが想像しているより、そこのお嬢さんはずっと危険な立場にあるのかもしれません」
伯母さまが扇子を勢いよく閉じて、その切っ先を御堂さんへと突きつけた。
「千里と結婚なさい。それですべて丸く収まります」
「……悪いけれど、伯母様。それはできない」
「千里が相手では不満ですか?」
「そういう問題じゃないんだ」