Melty Smile~あなたなんか好きにならない~
「そんなこと、ないと思います!」
突然大きな声を出した私に、陣さんはぎょっと目を見開いた。
「御堂さんは肩書きで相手を見るような人じゃありませんよ」
現に、なんの取り柄もない私を愛していると言ってくれたのだ。家柄や体裁を気にするような人なら、あり得ない。
「それに、成り上がりなんて言い方しないでください。誰にも負けない才能を持っているじゃないですか。テレビや雑誌で引っ張りだこの、イケメンパティシエなんでしょう?」
あんなに繊細で美味しいケーキを創り出せるパティシエは、そうそういないだろう。
けれど陣さんはまだまだ不服だという顔で押し黙っている。
「それに……こうしてわざわざ私を実家まで送ってくださってるじゃないですか。本当は無関係なのに」
私が笑いかけると、陣さんは横目でこちらを確認しながらわずかにたじろいだ。
「そういう陣さんの優しいところ、御堂さんもわかってるんだと思いますよ」
初めて出会ったパーティー会場で、突然泣いて逃げ出した私を探し出して慰めてくれたこと。
二度目に会ったときは、ぶつぶつ文句を言いながらも家へ送り届けてくれて、お土産にケーキまで持たせてくれた。
三度目は、襲われてショックを受けていた私が笑顔に戻れるよう、笑いかけてくれて――。
強気な態度の裏側に他人を思いやる心があるのだと、私は知っている。
突然大きな声を出した私に、陣さんはぎょっと目を見開いた。
「御堂さんは肩書きで相手を見るような人じゃありませんよ」
現に、なんの取り柄もない私を愛していると言ってくれたのだ。家柄や体裁を気にするような人なら、あり得ない。
「それに、成り上がりなんて言い方しないでください。誰にも負けない才能を持っているじゃないですか。テレビや雑誌で引っ張りだこの、イケメンパティシエなんでしょう?」
あんなに繊細で美味しいケーキを創り出せるパティシエは、そうそういないだろう。
けれど陣さんはまだまだ不服だという顔で押し黙っている。
「それに……こうしてわざわざ私を実家まで送ってくださってるじゃないですか。本当は無関係なのに」
私が笑いかけると、陣さんは横目でこちらを確認しながらわずかにたじろいだ。
「そういう陣さんの優しいところ、御堂さんもわかってるんだと思いますよ」
初めて出会ったパーティー会場で、突然泣いて逃げ出した私を探し出して慰めてくれたこと。
二度目に会ったときは、ぶつぶつ文句を言いながらも家へ送り届けてくれて、お土産にケーキまで持たせてくれた。
三度目は、襲われてショックを受けていた私が笑顔に戻れるよう、笑いかけてくれて――。
強気な態度の裏側に他人を思いやる心があるのだと、私は知っている。