Melty Smile~あなたなんか好きにならない~
「前に話したよな。あんたの住所も電話番号も、個人情報丸ごと千里が用意してくれた。千里はあんたに会いたがっていたが、あんたがどこの誰だか誰も知らない。仕方なく俺たちは、千里の会社のデータベースから情報を拝借することにしたんだ。ホテルの監視カメラの映像と、あんたのクレジットカード情報を照合して、個人を特定した。手伝う過程で俺もその情報を享受できた。もちろん、千里は俺がこんなことをしているとは知らないが――」
背後で、私の髪先を弄びながら種明かしをする陣さん。その口調があまりにも楽しそうだったから、怒りがじわりじわりと湧いてきた。
「――それから、今日俺たちが出会ったのもたまたまなんかじゃない。ずっとお前らを尾行してた」
「……どうしてこんなことを……」
「決まってんだろ? 金だよ。夕緋と千里が婚約すれば、莫大な金が動くんだ」
当然とでも言いたげに笑って、ベッドに腰を降ろす。
悪びれる様子がまったく見えなくて、愕然とした。
人の人生をなんだと思ってる? どれだけ私たちが苦しめられたと……。
「安心しろ。あんたを傷つけようなんて思ってねぇから。一日だけ大人しくここにいてくれれば、家族にもお前自身にも危害を加えたりしない。目的は夕緋への脅しだ。あんたが行方不明になれば、あいつももう好き勝手しようなんて考えないだろう」
その言葉にハッとさせられた。
もし今ここで私が行方不明になったら、御堂さんは血眼になって探すだろう。
必ず千里さんの伯母様に協力を依頼するはずだ。
自由という対価を差し出して……。
背後で、私の髪先を弄びながら種明かしをする陣さん。その口調があまりにも楽しそうだったから、怒りがじわりじわりと湧いてきた。
「――それから、今日俺たちが出会ったのもたまたまなんかじゃない。ずっとお前らを尾行してた」
「……どうしてこんなことを……」
「決まってんだろ? 金だよ。夕緋と千里が婚約すれば、莫大な金が動くんだ」
当然とでも言いたげに笑って、ベッドに腰を降ろす。
悪びれる様子がまったく見えなくて、愕然とした。
人の人生をなんだと思ってる? どれだけ私たちが苦しめられたと……。
「安心しろ。あんたを傷つけようなんて思ってねぇから。一日だけ大人しくここにいてくれれば、家族にもお前自身にも危害を加えたりしない。目的は夕緋への脅しだ。あんたが行方不明になれば、あいつももう好き勝手しようなんて考えないだろう」
その言葉にハッとさせられた。
もし今ここで私が行方不明になったら、御堂さんは血眼になって探すだろう。
必ず千里さんの伯母様に協力を依頼するはずだ。
自由という対価を差し出して……。