Melty Smile~あなたなんか好きにならない~
私たちはテーブルに向かい合って座った。
「これが契約書です。念のため、内容の確認をお願い致します」
預かってきた封筒の中から書類を取り出し、目の前に座る御堂さんが見やすいように並べる。
内容を確認する彼の表情は飄々としていて、私のよく知る彼そのままだ。
けれど、今となってはこの人のことを軽い人だとか、能天気だなんて、言えない。
もう、いつもみたいに軽くあしらうこともできそうにない。
「それから、こちらにサインを――」
「華穂ちゃん」
不意に言葉を遮られて視線を上げると、綺麗な顔が気遣わし気に私を覗き込んでいた。
「俺のこと、怖いと思ってる?」
「……そんなことは」
「まぁ、仕方ないよね。俺の働いている姿を見ると、だいたいの女の子は引くから」
はぁ、と御堂さんは頬杖をついて大きなため息を零した。
そのしょんぼりとした様子がなんだか物珍しくて、ついクスリと吹き出してしまった。
「普段のイメージとは違いすぎて驚きました」
「みっともないところを見られちゃったね。意地悪な男だと思われたかな」
「そんなことは!」
私はぶんぶんと、首を大きく横に振る。
「御堂さんの言っていることは正しいですし……そういう立場の人なんだって、分かってますから」
私の言葉に、彼は意外そうな顔をする。
「……華穂ちゃんを、みくびってたかな」
そう言って、眉を下げて情けなく笑った。
「部下に嫌われるのも、自分の仕事だと思っているよ。けれど、どんなに厳しいことを言っても、黒木くんは投げ出さず、俺を慕い続けてくれる。だからこそ俺も、全力で彼と向き合いたいんだ」
目を伏せながら、感慨深く呟いた。
「これが契約書です。念のため、内容の確認をお願い致します」
預かってきた封筒の中から書類を取り出し、目の前に座る御堂さんが見やすいように並べる。
内容を確認する彼の表情は飄々としていて、私のよく知る彼そのままだ。
けれど、今となってはこの人のことを軽い人だとか、能天気だなんて、言えない。
もう、いつもみたいに軽くあしらうこともできそうにない。
「それから、こちらにサインを――」
「華穂ちゃん」
不意に言葉を遮られて視線を上げると、綺麗な顔が気遣わし気に私を覗き込んでいた。
「俺のこと、怖いと思ってる?」
「……そんなことは」
「まぁ、仕方ないよね。俺の働いている姿を見ると、だいたいの女の子は引くから」
はぁ、と御堂さんは頬杖をついて大きなため息を零した。
そのしょんぼりとした様子がなんだか物珍しくて、ついクスリと吹き出してしまった。
「普段のイメージとは違いすぎて驚きました」
「みっともないところを見られちゃったね。意地悪な男だと思われたかな」
「そんなことは!」
私はぶんぶんと、首を大きく横に振る。
「御堂さんの言っていることは正しいですし……そういう立場の人なんだって、分かってますから」
私の言葉に、彼は意外そうな顔をする。
「……華穂ちゃんを、みくびってたかな」
そう言って、眉を下げて情けなく笑った。
「部下に嫌われるのも、自分の仕事だと思っているよ。けれど、どんなに厳しいことを言っても、黒木くんは投げ出さず、俺を慕い続けてくれる。だからこそ俺も、全力で彼と向き合いたいんだ」
目を伏せながら、感慨深く呟いた。