Melty Smile~あなたなんか好きにならない~
「橘家傘下の会社から、借金の肩代わりをしてもらっていたんだろう。それから、融資も。けれど親会社の景気が悪くなって、陣のところにまで金が回らなくなった。だから、俺と千里を結婚させようとしたのか。そうすれば、経営が安定すると踏んで」
「……言いがかりだ。確かに借金があるのは事実だが、だからってなにもかも俺のせいってのはおかしいだろ」
「千里の伯母に頼んで、全部調べてもらったよ、陣を取り巻く金の流れを。この場所がわかったのも、クレジットカードの履歴からこのホテルへの支払いを見つけたからだ」
御堂さんの言葉に誰よりもショックを受けたのは私だったかもしれない。
千里さんの伯母様に頼んだということは、あの条件を飲んだのだろうか。
デザイン会社を辞めてお父様の会社を継ぐか、千里さんと婚約するか――どちらに転んでも、御堂さんの自由を奪うしかないあの条件を。
「陣の口座から、陣の店の従業員へ、不自然な大金が流れていた。金を渡して華穂を襲わせたな。それから、華穂の自宅や実家に脅迫状を送るよう指示したんだろう。その従業員のクレジットカードからは、華穂の実家へ向かうための切符の購入履歴が出てきたよ」
ぐっ、と陣さんが全身に力を通わせる。
喉の奥から唸り声が聞こえてきそうなくらい、彼の身体から敵意が表出する。
「……ってことは夕緋、お前も橘のやつらも、最終手段を使っちまったってわけだ。違法な情報の流用――千里だけじゃなくて、お前ら全員犯罪者だな。これじゃあ、警察に訴えようにも無理だ」
陣さんの首筋に汗が浮き上がる。言葉とは裏腹に追い詰められている――けれど彼は苦し紛れにせせら笑う。
「……言いがかりだ。確かに借金があるのは事実だが、だからってなにもかも俺のせいってのはおかしいだろ」
「千里の伯母に頼んで、全部調べてもらったよ、陣を取り巻く金の流れを。この場所がわかったのも、クレジットカードの履歴からこのホテルへの支払いを見つけたからだ」
御堂さんの言葉に誰よりもショックを受けたのは私だったかもしれない。
千里さんの伯母様に頼んだということは、あの条件を飲んだのだろうか。
デザイン会社を辞めてお父様の会社を継ぐか、千里さんと婚約するか――どちらに転んでも、御堂さんの自由を奪うしかないあの条件を。
「陣の口座から、陣の店の従業員へ、不自然な大金が流れていた。金を渡して華穂を襲わせたな。それから、華穂の自宅や実家に脅迫状を送るよう指示したんだろう。その従業員のクレジットカードからは、華穂の実家へ向かうための切符の購入履歴が出てきたよ」
ぐっ、と陣さんが全身に力を通わせる。
喉の奥から唸り声が聞こえてきそうなくらい、彼の身体から敵意が表出する。
「……ってことは夕緋、お前も橘のやつらも、最終手段を使っちまったってわけだ。違法な情報の流用――千里だけじゃなくて、お前ら全員犯罪者だな。これじゃあ、警察に訴えようにも無理だ」
陣さんの首筋に汗が浮き上がる。言葉とは裏腹に追い詰められている――けれど彼は苦し紛れにせせら笑う。