Melty Smile~あなたなんか好きにならない~
「対等!? どこがだよ! お前は俺に弱みのひとつも見せちゃくれねぇじゃねぇか! 結局お前は俺を信用してないんだろう!」
投げやりに叫ぶ陣さんだったけれど、私には拗ねた子どものように映って、胸の奥がざわついた。
常に完璧を装おうとする御堂さんに弱みを見せてほしかったのだろうか。
自分が信頼されていると、確かめたかったのではないだろうか。
もしかして陣さんは、御堂さんを羨んでいるだけではなくて――頼ってもらえないことに寂しさを感じていた……?
けれど、本人すらそのことに気づかないようだった。完全に頭に血が昇ってしまっている。
「なに不自由ないお前には、俺の気持ちなんて理解できねぇよ!」
逆上した陣さんが、サイドテーブルを蹴り上げた。
ガタンと大きな音を立てながら、御堂さんと陣さんの間を遮るように転がる。
それをきっかけに、御堂さんにまで怒りの炎が伝播した。
「なに不自由ないだと! やりたい仕事を続けることもできず、愛する女性と結ばれることすら叶わない俺が恵まれているように見えるのか!?」
「うるせぇ!」
突然陣さんがうしろに立っていた私に掴みかかってきた。
一瞬のことでなにも抵抗できずにいると、背後から抱きすくめられ、首筋に腕が回された。
その手に握られていた銀色の小さな折り畳み式のナイフを見て、御堂さんが身を凍らせた。
「……陣!?」
「やすやすと幸せにさせてたまるかよ!」
首筋に回る手に力がこもる。
一瞬息が出来なくなって、水槽の中にいる魚みたいに、酸素を求め上へもがいた。それを見た御堂さんの顔色が変わる。
投げやりに叫ぶ陣さんだったけれど、私には拗ねた子どものように映って、胸の奥がざわついた。
常に完璧を装おうとする御堂さんに弱みを見せてほしかったのだろうか。
自分が信頼されていると、確かめたかったのではないだろうか。
もしかして陣さんは、御堂さんを羨んでいるだけではなくて――頼ってもらえないことに寂しさを感じていた……?
けれど、本人すらそのことに気づかないようだった。完全に頭に血が昇ってしまっている。
「なに不自由ないお前には、俺の気持ちなんて理解できねぇよ!」
逆上した陣さんが、サイドテーブルを蹴り上げた。
ガタンと大きな音を立てながら、御堂さんと陣さんの間を遮るように転がる。
それをきっかけに、御堂さんにまで怒りの炎が伝播した。
「なに不自由ないだと! やりたい仕事を続けることもできず、愛する女性と結ばれることすら叶わない俺が恵まれているように見えるのか!?」
「うるせぇ!」
突然陣さんがうしろに立っていた私に掴みかかってきた。
一瞬のことでなにも抵抗できずにいると、背後から抱きすくめられ、首筋に腕が回された。
その手に握られていた銀色の小さな折り畳み式のナイフを見て、御堂さんが身を凍らせた。
「……陣!?」
「やすやすと幸せにさせてたまるかよ!」
首筋に回る手に力がこもる。
一瞬息が出来なくなって、水槽の中にいる魚みたいに、酸素を求め上へもがいた。それを見た御堂さんの顔色が変わる。