Melty Smile~あなたなんか好きにならない~
ホテルの外へ出ると満点の星空が待ち構えていた。
「うわぁ……」
周囲に建物が少ない分、空は真っ黒に澄んでいて、星もよく見える。
実家にいた頃は当たり前のように毎日見ていたけれど、東京にきてからはすっかり忘れていた光景だ。
見上げて歩けば、一面に広がった深い闇と星々に吸い込まれそうになる。
風が吹けば自分の身体なんて空の彼方に飛んでいってしまいそうだ、覚束ない浮遊感を味わいながら、私たち以外誰もいないホテル正面の駐車スペースを歩いた。
「綺麗ですね」
「ああ。この前のパーティーのとき以来かな」
「パーティー?」
聞き返して首を傾げた。あの日はそんなに星が見えていただろうか。
そんな私の心を読んで、御堂さんは足もとを指さした。
「空じゃなくて、下がね」
「ああ、バルコニーから夜景が見えましたね」
とはいえあのときは、慣れないドレスと、客人たちの激しい追及を交わすのに心身ともに疲れ切っていて、その上に御堂さんまで思わせぶりなことを言って私を翻弄してくるものだから――
「正直、夜景を楽しむだけの心の余裕はありませんでしたけど……」
彼は笑いながらも、申し訳なさそうに頬をかく。
「……あのときはごめん。急にあんな場所へ連れていってしまって」
「いえ……」
確かに私は初めての体験でパニックになってしまったけれど、彼からしてみたらあれが日常なのだろう。
――あれが、本来彼のいるべき場所なのかもしれない。
「うわぁ……」
周囲に建物が少ない分、空は真っ黒に澄んでいて、星もよく見える。
実家にいた頃は当たり前のように毎日見ていたけれど、東京にきてからはすっかり忘れていた光景だ。
見上げて歩けば、一面に広がった深い闇と星々に吸い込まれそうになる。
風が吹けば自分の身体なんて空の彼方に飛んでいってしまいそうだ、覚束ない浮遊感を味わいながら、私たち以外誰もいないホテル正面の駐車スペースを歩いた。
「綺麗ですね」
「ああ。この前のパーティーのとき以来かな」
「パーティー?」
聞き返して首を傾げた。あの日はそんなに星が見えていただろうか。
そんな私の心を読んで、御堂さんは足もとを指さした。
「空じゃなくて、下がね」
「ああ、バルコニーから夜景が見えましたね」
とはいえあのときは、慣れないドレスと、客人たちの激しい追及を交わすのに心身ともに疲れ切っていて、その上に御堂さんまで思わせぶりなことを言って私を翻弄してくるものだから――
「正直、夜景を楽しむだけの心の余裕はありませんでしたけど……」
彼は笑いながらも、申し訳なさそうに頬をかく。
「……あのときはごめん。急にあんな場所へ連れていってしまって」
「いえ……」
確かに私は初めての体験でパニックになってしまったけれど、彼からしてみたらあれが日常なのだろう。
――あれが、本来彼のいるべき場所なのかもしれない。