Melty Smile~あなたなんか好きにならない~
シートベルトをバックルに繋ぎ終えた彼が、不意に真面目な顔で私に詰め寄ってくる。
「俺に嘘をつくのも、ごまかそうとするのも、勝手に身を引こうなんて考えるのも、全部禁止だ。これ以上俺を心配させないでくれ」
鋭い視線で真っ直ぐに射貫かれ、私はなにも言い返せぬまま口をパクパクと空振りさせる。
そんな私の情けない唇を、御堂さんが塞いでしまった。
柔らかな感触に包まれて惚けながらも、これでいいのだろうかと動揺する。
「っ、御堂、さん」
呼び止めたのに、それでも彼はキスをやめてくれない。
呼吸の合間に、割とどうでもいいという感じの短い返答をくれた。
「なに?」
「こんな……いいんですか……?」
「どうして?」
「……千里さんとの、婚約――」
千里さんの名前を出したとたん、彼がキスを止めた。
距離感をそのままに目を伏せる。
「実はまだどうするか、親父たちに答えを伝えていないんだ」
「じゃあ――」
「でも、婚約はしないと決めている」
「……今のお仕事を辞めてしまうってことですか?」
父親の跡を継ぐか、婚約か、どちらかを選ぶ約束だったはずだ。
前者だった場合は、今まで積み上げた信頼やキャリアをすべて捨てて会社をたたまなければならない。
私のせいで彼にそんな選択をさせるなんて――耐えられない。
「俺に嘘をつくのも、ごまかそうとするのも、勝手に身を引こうなんて考えるのも、全部禁止だ。これ以上俺を心配させないでくれ」
鋭い視線で真っ直ぐに射貫かれ、私はなにも言い返せぬまま口をパクパクと空振りさせる。
そんな私の情けない唇を、御堂さんが塞いでしまった。
柔らかな感触に包まれて惚けながらも、これでいいのだろうかと動揺する。
「っ、御堂、さん」
呼び止めたのに、それでも彼はキスをやめてくれない。
呼吸の合間に、割とどうでもいいという感じの短い返答をくれた。
「なに?」
「こんな……いいんですか……?」
「どうして?」
「……千里さんとの、婚約――」
千里さんの名前を出したとたん、彼がキスを止めた。
距離感をそのままに目を伏せる。
「実はまだどうするか、親父たちに答えを伝えていないんだ」
「じゃあ――」
「でも、婚約はしないと決めている」
「……今のお仕事を辞めてしまうってことですか?」
父親の跡を継ぐか、婚約か、どちらかを選ぶ約束だったはずだ。
前者だった場合は、今まで積み上げた信頼やキャリアをすべて捨てて会社をたたまなければならない。
私のせいで彼にそんな選択をさせるなんて――耐えられない。