Melty Smile~あなたなんか好きにならない~
「伊達に五年間けちょんけちょんにされてたわけじゃないだろう。黒木はもう十分やっていけるって、前社長からお墨つきを貰ってるよ」
「そ、そうなんですか!?」
黒木さんは半信半疑で身を乗り出す。
きっと今までまともに褒めて貰えたことがなかったのだろう。
あの人のことだ、女の子には誉め言葉を並べても、男の子には――ましてや仕事で身内となれば、なおさら優しさなんて見せなかったのではないだろうか。
そんな黒木さんを見て、村田さんは再び苦笑いを浮かべる。もしかしたら私と同じようなことを考えていたのかもしれない。
「五年もマンツーマンで手取り足取りしごかれてきたんだろう? それくらい成長して貰わなきゃ困るよ」
「それは俺の出来が悪すぎたからじゃ……」
「期待していない相手につきっきりで指導したりしないよ」
黒木さんがむずがゆそうな顔をする。
嬉しくて、でもどこか恥ずかしくて素直に喜べない、そんなような顔だった。
「じゃ、じゃあ……今日からは俺が社ちょ……前社長の代わりに最終確認しますね」
「よろしくお願いします」
私がデザイン案を手渡して説明を始めると、黒木さんはいつもよりキリっとした大人っぽい顔になって、私の指し示す先を見つめた。
「そ、そうなんですか!?」
黒木さんは半信半疑で身を乗り出す。
きっと今までまともに褒めて貰えたことがなかったのだろう。
あの人のことだ、女の子には誉め言葉を並べても、男の子には――ましてや仕事で身内となれば、なおさら優しさなんて見せなかったのではないだろうか。
そんな黒木さんを見て、村田さんは再び苦笑いを浮かべる。もしかしたら私と同じようなことを考えていたのかもしれない。
「五年もマンツーマンで手取り足取りしごかれてきたんだろう? それくらい成長して貰わなきゃ困るよ」
「それは俺の出来が悪すぎたからじゃ……」
「期待していない相手につきっきりで指導したりしないよ」
黒木さんがむずがゆそうな顔をする。
嬉しくて、でもどこか恥ずかしくて素直に喜べない、そんなような顔だった。
「じゃ、じゃあ……今日からは俺が社ちょ……前社長の代わりに最終確認しますね」
「よろしくお願いします」
私がデザイン案を手渡して説明を始めると、黒木さんはいつもよりキリっとした大人っぽい顔になって、私の指し示す先を見つめた。