Melty Smile~あなたなんか好きにならない~
「――以上、僕からの指摘はこんな感じです。修正をお願いします」
黒木さんが私のデザインの悪いところをひとしきり上げて締めくくった。
予想以上にたくさんダメ出しされてしまった。修正に結構な時間がかかりそうだ。
残業は確定。むしろ、終電までに終わらせることができるか、自信がない。
今日が金曜日でよかった。終わらなくても最悪休日出勤をすればなんとかなる。
――とはいえ、休日出勤も褒められたものではないけれど。
「ありがとうございます。すみません、至らないところがたくさんあって」
「いえ、優秀な方だと思います。俺が新人のころは、前社長にもっとボロクソにダメ出しされてましたから」
「……もしかして、そのときの鬱憤を晴らそうと――」
「そ、そそそんなことはありませんよっ! 前社長ならこう言うだろうなぁと思ったことを言ったまでですっ」
動揺しているところがなんだか怪しいが、指摘して貰えること自体はありがたい。
またひとつ、成長するチャンスを貰えたということだから。
「ありがとうございました。修正が済んだらまたご連絡します」
一礼してデスクへ戻った。
パソコンの右下にある時計を確認すると、まだ十九時半。
今日中に終わらせるに越したことはない。これも新人の修行のひとつだと思って、頑張ろう。
そんなことを考えながら、パソコンに向き合っていると。
「ただいまー……」
ちょっとお疲れ気味のだらけた声が響いてきて、私たちは部屋の入口に視線を向けた。
そこには、つい先週、前線を退いたばかりの前社長――御堂さんの姿。
黒木さんが私のデザインの悪いところをひとしきり上げて締めくくった。
予想以上にたくさんダメ出しされてしまった。修正に結構な時間がかかりそうだ。
残業は確定。むしろ、終電までに終わらせることができるか、自信がない。
今日が金曜日でよかった。終わらなくても最悪休日出勤をすればなんとかなる。
――とはいえ、休日出勤も褒められたものではないけれど。
「ありがとうございます。すみません、至らないところがたくさんあって」
「いえ、優秀な方だと思います。俺が新人のころは、前社長にもっとボロクソにダメ出しされてましたから」
「……もしかして、そのときの鬱憤を晴らそうと――」
「そ、そそそんなことはありませんよっ! 前社長ならこう言うだろうなぁと思ったことを言ったまでですっ」
動揺しているところがなんだか怪しいが、指摘して貰えること自体はありがたい。
またひとつ、成長するチャンスを貰えたということだから。
「ありがとうございました。修正が済んだらまたご連絡します」
一礼してデスクへ戻った。
パソコンの右下にある時計を確認すると、まだ十九時半。
今日中に終わらせるに越したことはない。これも新人の修行のひとつだと思って、頑張ろう。
そんなことを考えながら、パソコンに向き合っていると。
「ただいまー……」
ちょっとお疲れ気味のだらけた声が響いてきて、私たちは部屋の入口に視線を向けた。
そこには、つい先週、前線を退いたばかりの前社長――御堂さんの姿。