Melty Smile~あなたなんか好きにならない~
不意に御堂さんが「そうだ」と口を開いた。
「――そういえば、田所さんに会ったよ」
「えっ!?」
私が『トレジャーフィル』に勤めていた間、誰よりもよくしてくれた田所部長。
退社したいと告げたとき、何度も私を引き留めてくれた。
わざわざ退社までしなくても、この会社にいながらやりたいことを実現させる方法はないか――そう親身になって考えてくれたのだ。
すごく嬉しかったけれど、丁重にお断りした。
デザイナーになるのが夢だったのだと打ち明けたら、渋々ながらも送り出してくれた。
「一昨日ね。久々に声をかけられて飲んだんだ。華穂は元気に頑張っていますと伝えておいた」
「田所さんは、なんて……」
「泣いてた。俺を捨ててこんな男のもとに嫁ぎやがってって」
「あはははは……」
酔っぱらって管を巻く田所部長の姿が想像できてしまう。
普段は頼もしい田所部長だけれど、お酒が入ると子どもみたいに饒舌になり、はしゃいでしまう人だ。
「公私ともに幸せにしますんで、華穂さんをくださいって言っといた。泣かせたら承知しねぇぞ、だってさ」
「そんなことを……」
思わず顔が熱くなってしまう。
私のいないところでそんな会話を――なんだか恥ずかしくなってしまったので、いっそ話題を変えてしまうことにする。
「――そういえば、田所さんに会ったよ」
「えっ!?」
私が『トレジャーフィル』に勤めていた間、誰よりもよくしてくれた田所部長。
退社したいと告げたとき、何度も私を引き留めてくれた。
わざわざ退社までしなくても、この会社にいながらやりたいことを実現させる方法はないか――そう親身になって考えてくれたのだ。
すごく嬉しかったけれど、丁重にお断りした。
デザイナーになるのが夢だったのだと打ち明けたら、渋々ながらも送り出してくれた。
「一昨日ね。久々に声をかけられて飲んだんだ。華穂は元気に頑張っていますと伝えておいた」
「田所さんは、なんて……」
「泣いてた。俺を捨ててこんな男のもとに嫁ぎやがってって」
「あはははは……」
酔っぱらって管を巻く田所部長の姿が想像できてしまう。
普段は頼もしい田所部長だけれど、お酒が入ると子どもみたいに饒舌になり、はしゃいでしまう人だ。
「公私ともに幸せにしますんで、華穂さんをくださいって言っといた。泣かせたら承知しねぇぞ、だってさ」
「そんなことを……」
思わず顔が熱くなってしまう。
私のいないところでそんな会話を――なんだか恥ずかしくなってしまったので、いっそ話題を変えてしまうことにする。