Melty Smile~あなたなんか好きにならない~
「御堂さんが戻ってきてくれるの、待ってますから」
「ああ」
御堂さんはちらりと私へ目をやって、満足そうに瞳を細める。
その瞳には、私と彼のともに歩む未来が映しだされているのかもしれない――そう願って瞳を閉じる。
目的地の近くの交差点まで辿り着いたとき。
「ところで華穂」
赤信号で車を止めた御堂さんが、不意に私の唇に人差し指を突きつけてきた。
「呼び方、仕事が抜けてない」
「あ」
仕事中、ずっと苗字で呼んでいたせいか、ついついそのままになってしまっていた。
「ゆ、夕緋」
三ヵ月経った今でもその呼び方には慣れていない。
最初は『夕緋さん』だったのに、そのうち「さんはいらない」と改めさせられてしまった。
呼び捨てにしていいのか、今でも困惑してしまうけれど、私が思うよりもずっと夕緋さ――夕緋は、私を対等に見てくれているらしかった。
「その呼び方、まだ照れる?」
「ずっと、さん付けで呼んでましたし……」
「俺は嬉しいけどな。華穂の特別になれた気がして……でも、華穂が呼びづらいなら……」
寂し気に言うものだから慌ててしまった。けっして『夕緋』と呼ぶことが嫌なわけではない。それどころか――
「私も『夕緋』って呼びたいです」
私も、彼の特別でありたい。
遠くに感じていた彼との距離が、名前を呼ぶことでほんの少しでも縮まる気がする。
私の言葉に、彼はハンドルを握って道路の先を眺めながら、ふっと口もとを綻ばせた。
「ああ」
御堂さんはちらりと私へ目をやって、満足そうに瞳を細める。
その瞳には、私と彼のともに歩む未来が映しだされているのかもしれない――そう願って瞳を閉じる。
目的地の近くの交差点まで辿り着いたとき。
「ところで華穂」
赤信号で車を止めた御堂さんが、不意に私の唇に人差し指を突きつけてきた。
「呼び方、仕事が抜けてない」
「あ」
仕事中、ずっと苗字で呼んでいたせいか、ついついそのままになってしまっていた。
「ゆ、夕緋」
三ヵ月経った今でもその呼び方には慣れていない。
最初は『夕緋さん』だったのに、そのうち「さんはいらない」と改めさせられてしまった。
呼び捨てにしていいのか、今でも困惑してしまうけれど、私が思うよりもずっと夕緋さ――夕緋は、私を対等に見てくれているらしかった。
「その呼び方、まだ照れる?」
「ずっと、さん付けで呼んでましたし……」
「俺は嬉しいけどな。華穂の特別になれた気がして……でも、華穂が呼びづらいなら……」
寂し気に言うものだから慌ててしまった。けっして『夕緋』と呼ぶことが嫌なわけではない。それどころか――
「私も『夕緋』って呼びたいです」
私も、彼の特別でありたい。
遠くに感じていた彼との距離が、名前を呼ぶことでほんの少しでも縮まる気がする。
私の言葉に、彼はハンドルを握って道路の先を眺めながら、ふっと口もとを綻ばせた。