Melty Smile~あなたなんか好きにならない~
ホテルに着いた私たちは、最上階の最高級スイートルームへと向かう。ここにくるのも三ヵ月ぶりだ。
いつも送り迎えを担当してくれるベテランスタッフの北條さんは、普段なら部屋の中まできちんと案内してくれるのだけれど、今日はエレベータを降りたあたりでそそくさと姿を消してしまった。
よっぽど忙しいのだろうか、違和感を感じながらも、部屋の入口を開けてみると――
「っっ!」
飛び込んできた景色に悲鳴を上げそうになって、私は慌てて口を手で覆った。
ソファとテーブルの置いてある中央の一画が、紅に染められていた。
床の上に敷き詰められた真っ赤な薔薇の花びら。
天井からはレースの天蓋が伸びていて、その上にも花びらが舞っている。
ソファの上には大きな薔薇の花束。
テーブルには真っ赤なテーブルクロスがひかれ、その上に豪勢なケーキとシャンパン。
大きく息をすると、部屋を満たす薔薇の香りが鼻腔を刺激した。
「これ……」
見上げた先に、夕緋の柔らかな笑顔がある。
「どう? 驚いた?」
「はい、すごく綺麗……これ、夕緋が……?」
「そう。……最初はケーキと花束くらいだったのに、華穂があまりに遅いから手持ち無沙汰でどんどん派手になっちゃって、最終的には北條さんと一緒になって天蓋とレッドカーペットまで引いちゃったよ」
子どものようにあどけない顔でクスクスと笑いながら、私の手を取り、部屋の中心へと続く真っ赤なカーペットの上を歩く。
いつも送り迎えを担当してくれるベテランスタッフの北條さんは、普段なら部屋の中まできちんと案内してくれるのだけれど、今日はエレベータを降りたあたりでそそくさと姿を消してしまった。
よっぽど忙しいのだろうか、違和感を感じながらも、部屋の入口を開けてみると――
「っっ!」
飛び込んできた景色に悲鳴を上げそうになって、私は慌てて口を手で覆った。
ソファとテーブルの置いてある中央の一画が、紅に染められていた。
床の上に敷き詰められた真っ赤な薔薇の花びら。
天井からはレースの天蓋が伸びていて、その上にも花びらが舞っている。
ソファの上には大きな薔薇の花束。
テーブルには真っ赤なテーブルクロスがひかれ、その上に豪勢なケーキとシャンパン。
大きく息をすると、部屋を満たす薔薇の香りが鼻腔を刺激した。
「これ……」
見上げた先に、夕緋の柔らかな笑顔がある。
「どう? 驚いた?」
「はい、すごく綺麗……これ、夕緋が……?」
「そう。……最初はケーキと花束くらいだったのに、華穂があまりに遅いから手持ち無沙汰でどんどん派手になっちゃって、最終的には北條さんと一緒になって天蓋とレッドカーペットまで引いちゃったよ」
子どものようにあどけない顔でクスクスと笑いながら、私の手を取り、部屋の中心へと続く真っ赤なカーペットの上を歩く。