Melty Smile~あなたなんか好きにならない~
田所部長の携帯電話にかけてみるも、案の定繋がらず、私は困り果ててしまった。
「明日、確認して、また出直してきてもよろしいでしょうか?」
「かまわないよ。こちらはいつでも」
「申し訳ありません」
深くお辞儀をして、書類を封筒に戻しながら、携帯の番号を教えてほしいと言った彼の言葉の意味を考えた。
私が軽く断ってしまったこの依頼は、二十四時間稼働で仕事と戦い続ける彼にとって、切実なお願いだったのかもしれない。
「ごめんなさい」
思わず呟くも、御堂さんはなにを言われたのかわからないといった様子で首を傾げているし、私ももやもやとした気持ちが募る一方だ。
私が彼に協力出来ること――
悩んだ末、バッグの中に入っていた手帳のページを一枚を破いて、自分の電話番号とメールアドレスを書き、手渡した。
「私の連絡先です。お電話いただければ、出来る限りご協力します」
手帳の切れ端を受け取った御堂さんが、目を丸くする。
「これは、華穂ちゃんの仕事用の番号?」
「いえ。私は、仕事用の携帯をいただいておりませんので。私個人の携帯です」
「わざわざ、俺の仕事のために、プライベートの番号とメールアドレスを教えてくれるの?」
「知りたいと仰ったのは御堂さんの方でしょう? 仕事で必要だからと……」
彼は電話番号と私を交互に見比べながら、呆然としていた。
けれど、すぐに表情が柔らかくなる。口もとを抑えながら声を押し殺して笑い始めた。
「明日、確認して、また出直してきてもよろしいでしょうか?」
「かまわないよ。こちらはいつでも」
「申し訳ありません」
深くお辞儀をして、書類を封筒に戻しながら、携帯の番号を教えてほしいと言った彼の言葉の意味を考えた。
私が軽く断ってしまったこの依頼は、二十四時間稼働で仕事と戦い続ける彼にとって、切実なお願いだったのかもしれない。
「ごめんなさい」
思わず呟くも、御堂さんはなにを言われたのかわからないといった様子で首を傾げているし、私ももやもやとした気持ちが募る一方だ。
私が彼に協力出来ること――
悩んだ末、バッグの中に入っていた手帳のページを一枚を破いて、自分の電話番号とメールアドレスを書き、手渡した。
「私の連絡先です。お電話いただければ、出来る限りご協力します」
手帳の切れ端を受け取った御堂さんが、目を丸くする。
「これは、華穂ちゃんの仕事用の番号?」
「いえ。私は、仕事用の携帯をいただいておりませんので。私個人の携帯です」
「わざわざ、俺の仕事のために、プライベートの番号とメールアドレスを教えてくれるの?」
「知りたいと仰ったのは御堂さんの方でしょう? 仕事で必要だからと……」
彼は電話番号と私を交互に見比べながら、呆然としていた。
けれど、すぐに表情が柔らかくなる。口もとを抑えながら声を押し殺して笑い始めた。