Melty Smile~あなたなんか好きにならない~
もしかして御堂さんは、部下を叱りつけていたことや、徹夜のことを口留めしたいのだろうか。
自分の真剣な顔を他人に知られることが、そんなに恥ずかしい?

……私は、魅力的だと思うんだけどな――
――そう考えている自分に気がついて、再び頬が熱くなってしまった。

もともと他言なんてする気はないけれど、それで彼の気が済むのなら、その提案に乗ってあげてもいい。

「じゃあ、誕生日らしいご馳走が食べたいです」

「……了解。華穂ちゃんがお姫様になれるお店、探しておくよ」

「お姫様……ですか?」

「ああ。誕生日らしい、ね」

「はあ」

このとき、御堂さんが何かを企むような顔になったことを、もっと気に留めておくべきだった。
でなければ、これから起こる大事件に巻き込まれないで済んだのかもしれない――。
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