Melty Smile~あなたなんか好きにならない~
やがて辿り着いた先は都心の一流ホテル。
大きな正面玄関をくぐり抜け、カウンターの前を通り過ぎようとすると、年を重ねたベテランスタッフがこちらに駆け寄ってきた。
「お待ちしておりました」
スタッフは紳士的な所作で一礼し、私たちをエントランスホールのさらに奥にある、鍵付きのフロアへと案内した。
豪奢な装飾が施されたその一角に、一般客は使うことを許されないエレベータがあった。スタッフは私たちを乗せて最上階へと向かう。
エレベータを降りて長い廊下を進み、辿り着いた部屋は見るからにスイートルームといった様相の豪華な客室だった。
いくつも部屋が連なっており、クラシックな調度品は西洋ヨーロッパの館を思わせる。
シティホテルの最上階のスイートルームだなんて。
こんな豪華なお部屋をわざわざ今日のために借りてくれたの?
あまりのVIP待遇に感動と不安が入り交じって、震えてしまいそうだ。
奥の部屋に行くと、ふたりの女性がスタンバイしていた。
脇には大きな黒いメイクボックスと、たくさんのドレスが掛かったハンガーラック。
おそらく彼女たちが話に聞いたスタイリストとヘアメイクアップアーティストなのだろう。
「彼女をよろしく」
「わかりました」
御堂さんと彼らの間でそんなやり取りだけが交わされる。
「大丈夫。彼らに任せて。俺は隣の部屋で待ってるから」
「え……でも……」
「着替え、見ててもいいなら傍にいるけど?」
「……あっち行っててください」
私は御堂さんを部屋から追い出して、しっかりと鍵をかける。
「それでは佐藤さま、こちらへどうぞ」
スタイリストと思しき女性が、移動用の大きな姿見を引いてきた。
大きな正面玄関をくぐり抜け、カウンターの前を通り過ぎようとすると、年を重ねたベテランスタッフがこちらに駆け寄ってきた。
「お待ちしておりました」
スタッフは紳士的な所作で一礼し、私たちをエントランスホールのさらに奥にある、鍵付きのフロアへと案内した。
豪奢な装飾が施されたその一角に、一般客は使うことを許されないエレベータがあった。スタッフは私たちを乗せて最上階へと向かう。
エレベータを降りて長い廊下を進み、辿り着いた部屋は見るからにスイートルームといった様相の豪華な客室だった。
いくつも部屋が連なっており、クラシックな調度品は西洋ヨーロッパの館を思わせる。
シティホテルの最上階のスイートルームだなんて。
こんな豪華なお部屋をわざわざ今日のために借りてくれたの?
あまりのVIP待遇に感動と不安が入り交じって、震えてしまいそうだ。
奥の部屋に行くと、ふたりの女性がスタンバイしていた。
脇には大きな黒いメイクボックスと、たくさんのドレスが掛かったハンガーラック。
おそらく彼女たちが話に聞いたスタイリストとヘアメイクアップアーティストなのだろう。
「彼女をよろしく」
「わかりました」
御堂さんと彼らの間でそんなやり取りだけが交わされる。
「大丈夫。彼らに任せて。俺は隣の部屋で待ってるから」
「え……でも……」
「着替え、見ててもいいなら傍にいるけど?」
「……あっち行っててください」
私は御堂さんを部屋から追い出して、しっかりと鍵をかける。
「それでは佐藤さま、こちらへどうぞ」
スタイリストと思しき女性が、移動用の大きな姿見を引いてきた。