Melty Smile~あなたなんか好きにならない~
準備を終えて部屋を出た私は、御堂さんの姿を探し、広いスイートルームの中を彷徨った。
膝下がマーメイドのように揺れる深紅のドレスをなびかせて、一部屋一部屋覗いていく。
胸元には大振りのダイヤのネックレス。今まで履いたこともない高いヒールが歩きづらい。
髪もアップに結い上げられ、おろした毛先にエレガントなパーマが当たっている。メイクも厚く、派手に直された。
ここまで着飾らなければ入れないお店ってなんだろう……?
まるで結婚式にでも行くみたいだ。
二部屋挟んだ先のリビングで、やっと彼のうしろ姿を見つけた。
「御堂さん、これはいったいどういう――」
けれど、彼のその恰好は私を迎えに来てくれたときとは違っていて、振り向いた姿に言葉を失った。
着飾っていたのは、彼も同じだった。
それも、ただのスーツじゃない。とびきり恰好いい、高級感と気品に溢れるパーティースーツ。
艶感のあるブラックのジャケット、上品なグレーのクロスベスト、そしてお洒落なリングタイ。
無造作ヘアはそのままなのに、逆にハマっていて、全体が洗練された印象に見える。
普段の彼だって女性の目を釘づけにするには十分なのに、目の前のこれは反則モノだ。
見惚れない人がいたら見てみたい。
「あ……の……」
思わず緊張してしどろもどろになってしまった。
けれど、それは彼も同じだったみたいだ。
私の姿を見るなり、開いた口をピタッと止めて、逡巡する。
膝下がマーメイドのように揺れる深紅のドレスをなびかせて、一部屋一部屋覗いていく。
胸元には大振りのダイヤのネックレス。今まで履いたこともない高いヒールが歩きづらい。
髪もアップに結い上げられ、おろした毛先にエレガントなパーマが当たっている。メイクも厚く、派手に直された。
ここまで着飾らなければ入れないお店ってなんだろう……?
まるで結婚式にでも行くみたいだ。
二部屋挟んだ先のリビングで、やっと彼のうしろ姿を見つけた。
「御堂さん、これはいったいどういう――」
けれど、彼のその恰好は私を迎えに来てくれたときとは違っていて、振り向いた姿に言葉を失った。
着飾っていたのは、彼も同じだった。
それも、ただのスーツじゃない。とびきり恰好いい、高級感と気品に溢れるパーティースーツ。
艶感のあるブラックのジャケット、上品なグレーのクロスベスト、そしてお洒落なリングタイ。
無造作ヘアはそのままなのに、逆にハマっていて、全体が洗練された印象に見える。
普段の彼だって女性の目を釘づけにするには十分なのに、目の前のこれは反則モノだ。
見惚れない人がいたら見てみたい。
「あ……の……」
思わず緊張してしどろもどろになってしまった。
けれど、それは彼も同じだったみたいだ。
私の姿を見るなり、開いた口をピタッと止めて、逡巡する。