Melty Smile~あなたなんか好きにならない~
「御堂さん……このパーティーの主催者って」

「ああ」

私が垂れ幕を指さすのを見て、御堂さんはニッコリと微笑んだ。

「実家がちょっとした会社を経営しててね。父が主催しているパーティーだ」

「ちょっとした、って……」

ちょっとした会社が開くパーティーの規模には見えないんですけど……。
ホテルのワンフロアを貸し切って、これだけの人数を集め、海外の三ツ星シェフまで呼んで――大企業であることは間違いなかった。

「まあ気にしなくていいよ。今の俺の仕事とは無関係だから」

簡単に言うけれど、気にしないわけにもいかない。
現に周囲の客人たちが御堂さんの姿に気がついて熱い眼差しを送っている。

主催者である社長の息子。つまり、この大企業の跡継ぎということなのだろう。
注目されるわけだ。

困惑するまま、煌びやかなシャンデリアに照らされた豪奢なパーティー会場に足を踏み入れた。

広間の中央には奥まで続く長いテーブルが置かれており、真っ白なテーブルクロスの上に豪勢な料理が並んでいた。
脇にはバーカウンター。所々に設置された小テーブルの周りで、見るからに高価なドレスや装飾品を纏った人々がワインやシャンパンを片手に談笑している。

ここにいる人々が一般人ではなく、俗に言う”上流階級”であることは、彼らの放つオーラですぐに分かった。
同時に、私がここにいるべきではないということも。

ただし、一緒にいる御堂さんは例外で、堂々とした振る舞いと凛とした横顔が、選ばれた特別な存在であることを証明していた。
随分と場馴れしているように見える。
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