Melty Smile~あなたなんか好きにならない~
やがて二人の会話を聞きつけて人々が集まってきた。
見るからに外国人といった顔立ちの人も、どう見ても日本人にしか見えない人も、全員英語。
このパーティー会場の公用語は英語らしい。

彼らが何と言っているのか、私にはさっぱり聞き取れないけれど、御堂さんはちゃんとわかっているらしく、表情ひとつ変えずに切り返している。
たまに私の方に質問が及ぶも、それらも代わりに答えてくれた。

不意に、会話の途中で御堂さんが私へ視線を落とした。
かと思えば、唇でそっと私の額に触れる。

優しい口づけだった。驚いて視線を上げた先に、彼の愛情に満ちた表情。

……え?

困惑する私とは裏腹に、その場に拍手喝采が巻き起こる。
彼の予想外の行動と、周囲からの視線に、頭は大パニックだ。

どうしてこんなことをするの?
みんなに勘違いされてしまう……

読み取れない彼の心の内、恥ずかしさ、胸の高鳴り、全部が合わさって、もうどうしたらいいのかわからない。

たしなめるように、彼の手が私の肩を撫でて、余計にドキドキした。

それからというもの、彼らの対応が変わった。

御堂さんばかりか、私にまで握手やハグを求めてくる。
誰もが英語だったけれど友好的であることだけははっきりとわかった。

「so cute!」なんて、なんとなく素敵とかかわいいとか、褒めてもらえている気がする。
私と御堂さんの周りには人だかりができて、完全に身動きが取れなくなってしまった。
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