Melty Smile~あなたなんか好きにならない~
第一章 軽薄な彼の、裏の顔
午後二時。デスクの内線電話がけたたましい音で鳴り響いて、私はびくりと肩を震わせた。
あの人が来た。
電話の主は一階の来客用受付カウンターで、綺麗な声をした受付スタッフが予想通りの内容をアナウンスした。
『デザイン会社M’sの御堂様がいらっしゃいました。お迎えをお願いします』
……やっぱり。
受話器を置いた私はがっくりとうな垂れて、大きなため息をひとつ。
それを耳にしてしまった通りすがりの先輩が、無視することも出来なかったのだろう、やむなく足を止めた。
「その顔はもしかして、お迎えの時間?」
重苦しく頷いた私を見て、先輩は『ああ、また始まった』みたいな顔でやれやれと笑う。
「そんなに彼のことが嫌い? 私は素敵だと思うけど」
「……軽い人は、好きではありません」
憎しみを心底込めて言ってやったのだが、理解はしてもらえなかった。
先輩はよくわからないといった顔で首を傾げている。
「いつもニコニコしていて感じがいい人じゃない。社長なのに気取ったところもないし。その上、イケメンでスタイル抜群。完璧ね」
同じことを誰もが口を揃えて言う。
『デザイン会社社長』という肩書きや『イケメン』という見た目にみんな騙されているんじゃないだろうか。
あの人が来た。
電話の主は一階の来客用受付カウンターで、綺麗な声をした受付スタッフが予想通りの内容をアナウンスした。
『デザイン会社M’sの御堂様がいらっしゃいました。お迎えをお願いします』
……やっぱり。
受話器を置いた私はがっくりとうな垂れて、大きなため息をひとつ。
それを耳にしてしまった通りすがりの先輩が、無視することも出来なかったのだろう、やむなく足を止めた。
「その顔はもしかして、お迎えの時間?」
重苦しく頷いた私を見て、先輩は『ああ、また始まった』みたいな顔でやれやれと笑う。
「そんなに彼のことが嫌い? 私は素敵だと思うけど」
「……軽い人は、好きではありません」
憎しみを心底込めて言ってやったのだが、理解はしてもらえなかった。
先輩はよくわからないといった顔で首を傾げている。
「いつもニコニコしていて感じがいい人じゃない。社長なのに気取ったところもないし。その上、イケメンでスタイル抜群。完璧ね」
同じことを誰もが口を揃えて言う。
『デザイン会社社長』という肩書きや『イケメン』という見た目にみんな騙されているんじゃないだろうか。