Melty Smile~あなたなんか好きにならない~
第三章 大丈夫なんて言わないで
ドレスのままホテルの敷地内を彷徨い歩いて、やがて大きな池のある庭園へと辿り着いた。
池の回りを取り囲む木々。その脇には石を敷き詰めた散歩道が通っている。
周囲はムード満点にライトアップされ、夜の散策を楽しむ客もちらほらいたけれど、散歩道から少し離れた木陰のベンチには誰も近寄ってこなかった。
ここだけ死角になっていて妙に薄暗い。
人目を避けたい私には好都合だった。泣いてる顔なんて、誰にも見られたくないもの。
しばらくベンチに座って、この先どうしようかなんて、ぼんやりと考えていた。
困ったことに、服も荷物も、全部最上階のスイートルームに置いてきてしまった。
取りに行ったが最後、御堂さんが待ち構えているかもしれない。
けれど、いつかは行かなくては。
お財布も携帯も全部預けてしまっているのだから、家に帰ることすらできない。
これも返さなくちゃ……
肩に羽織った借りっぱなしのジャケットを撫でながら、ため息をついた。
まだ少し薔薇の香りが残っていて、意図せず彼の優しさと温もりを思い出してしまう。正直、辛い。
池の回りを取り囲む木々。その脇には石を敷き詰めた散歩道が通っている。
周囲はムード満点にライトアップされ、夜の散策を楽しむ客もちらほらいたけれど、散歩道から少し離れた木陰のベンチには誰も近寄ってこなかった。
ここだけ死角になっていて妙に薄暗い。
人目を避けたい私には好都合だった。泣いてる顔なんて、誰にも見られたくないもの。
しばらくベンチに座って、この先どうしようかなんて、ぼんやりと考えていた。
困ったことに、服も荷物も、全部最上階のスイートルームに置いてきてしまった。
取りに行ったが最後、御堂さんが待ち構えているかもしれない。
けれど、いつかは行かなくては。
お財布も携帯も全部預けてしまっているのだから、家に帰ることすらできない。
これも返さなくちゃ……
肩に羽織った借りっぱなしのジャケットを撫でながら、ため息をついた。
まだ少し薔薇の香りが残っていて、意図せず彼の優しさと温もりを思い出してしまう。正直、辛い。