Melty Smile~あなたなんか好きにならない~
ひとり途方に暮れていると、すぐ脇の石の歩道を走る靴音が聞こえてきた。
誰か来る……?
近づいてきたその影は、逆光でよく見えないけれど、背格好から私の思い描いている人でないことだけはわかった。
ちょっとだけがっかりする。そして、がっかりしている自分に気がついて、さらにがっかりした。
自ら逃げ出したくせに、追いかけてきてくれることを望んでいるなんて――私ってなんてわがままなんだろう。
しかし次第にはっきりとしてきたその人物に驚いた。
白いコックコートを身に纏う彼は――陣さん。
私の姿を見つけた彼は、呆れ顔で足を止めると、ゆっくりとベンチに向かって歩いてきた。
「あーあ。夕緋と同時にあんたを探しに出たのに、俺の方が先に見つけちゃうってなんだよ……」
そんなことをぼやきながら、私の横に腰掛ける。
どうやらわざわざ探しにきてくれたみたいだ……あんな飛び出し方をしてしまったから、初対面の彼にまで心配をかけたのだろう――ちょっと迂闊だった。
「……すみません。ご心配をおかけして」
「まったくだ。あんなふうに飛び出されたら、探さないわけにいかねぇじゃねーか……まぁ、あんたを追い詰めたのは、俺なのかもしんねぇけど」
悪態をつきながらも、若干申し訳なさそうにして頬を掻く。
遠くを見つめながら低い声でぼそりと呟いた。
「悪かったな」
誰か来る……?
近づいてきたその影は、逆光でよく見えないけれど、背格好から私の思い描いている人でないことだけはわかった。
ちょっとだけがっかりする。そして、がっかりしている自分に気がついて、さらにがっかりした。
自ら逃げ出したくせに、追いかけてきてくれることを望んでいるなんて――私ってなんてわがままなんだろう。
しかし次第にはっきりとしてきたその人物に驚いた。
白いコックコートを身に纏う彼は――陣さん。
私の姿を見つけた彼は、呆れ顔で足を止めると、ゆっくりとベンチに向かって歩いてきた。
「あーあ。夕緋と同時にあんたを探しに出たのに、俺の方が先に見つけちゃうってなんだよ……」
そんなことをぼやきながら、私の横に腰掛ける。
どうやらわざわざ探しにきてくれたみたいだ……あんな飛び出し方をしてしまったから、初対面の彼にまで心配をかけたのだろう――ちょっと迂闊だった。
「……すみません。ご心配をおかけして」
「まったくだ。あんなふうに飛び出されたら、探さないわけにいかねぇじゃねーか……まぁ、あんたを追い詰めたのは、俺なのかもしんねぇけど」
悪態をつきながらも、若干申し訳なさそうにして頬を掻く。
遠くを見つめながら低い声でぼそりと呟いた。
「悪かったな」